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異文化適応には、一定のパターン
文化に触れ、友人をつくれ
横浜国大 前留学生担当講師

留学生に語りかける辻岡さん
留学生に語りかける辻岡さん
留学生に語りかける辻岡さん
 留学生が、異文化社会に適応するに当って、ある一定のいくつかのパターンがある。基本的なものは、異国に入って最初の2週間程度は本人も緊張しており、物珍しさもあり、周りも歓迎ムードといったことで「気分高揚期」、しかし実際に仕事や勉強を始めると、いろいろ思っていたことと違うといったことから、3カ月ごろまでは「不安期」に。さらに6カ月ごろまでは精神的に最も厳しい経験をする「試行錯誤期」、それが過ぎ12ヶ月目までは「展望が見えて努力の成果を感じ始める時期」、その後は「適応期」といったもの、と語るのは、横浜国大で今年3月まで留学生担当講師をしていた辻岡政男さん。

 緑園都市コミュニティ協会国際交流委員会が6月26日(金)に開催した「第85回トークサロン」に続いての特別講演 「留学生アドバイザーの経験談」。長年にわたり横浜国大大学院で国際社会科学での研究や800名を超える同大学留学生を指導されたり、国際交流事業団(JAICA)における豊富な経験からのエピソードを交えながら、国際交流のあり方や、参加したフェリス女学院大学留学生たちに対するアドバイスなど語りかけていた。

 留学生の日本の印象は、物価が高い、列を乱さない、電車で寝ている人が多いし、携帯に夢中。また交通手段が発達しており、時間も正確、清潔、安全。仕事に責任感を持って真剣に取組むが、労働時間が長いなどがあげられる。一方、彼らからの質問として、寺と神社の違い、宗教としての神道・仏教・儒教の違い、天皇と将軍はどちらが日本の代表?など、日本人でも的確にこたえるのが難しいものもある、としていた。
辻岡さんの話に聞き入る参加者
辻岡さんの話に聞き入る参加者

 異文化社会に入ると、誰でも好・不調の時期を経験する。自分に合った解決策を工夫すること。地元の人たちとの交流に心がけ、気分転換を図るとともに、日本人の友達を作ること。学内ではクラブ活動や運動クラブに参加し、日本人の友達を作るとともに、日本文化に触れるよう心がけてほしいと、アドバイスしていた。

 未知の外国を自分の目で見、外国人と直接会って話をすることが重要。これが国際交流で、個人個人がこういった国際交流に何らかの形で参加することで、世界平和につながる。留学生のみなさんは、こういったことで大変な貢献をしていることになっており、現在日本にいる留学生は13万人のレベルで、欧米先進国に比べ圧倒的に少ない。だが、日本の国際化のためにも日本政府としては30万人を目標としている、としていた。