ロシアから横浜国立大学の留学生として滞在されて3ヶ月になるアレキサンダービスカロさんをお招きし、”ロシアって日本から遠いの?“という題でお話していただいた。幼少のころ、空手を習ったことから、日本に興味を持ち、俳句にも関心があるという彼は、モスクワ大学の3年生の在学中に日本にこられた。話は3部に分けられ、(1)ロシアとはどんな国か、(2)日本の印象(3)日ロ関係。
(1)では日本の46倍もある広大な自然豊かな国土、相違の大きい気候風土、低い平均寿命を持つまま人口(世界第7位)の減少といった中で、旧ソ連崩壊後の混乱から起こった所得格差の拡大、貧困問題などのいろいろな問題をかかえている。1998年の経済危機も石油の高値とルーブルの切り下げなどで乗り切り、以後外国の投資などで次第に発展、2000〜2004年のGDP成長率は6〜7%である。観光としても脚光を浴びるモスクワやサンクトペテルブルグなど美しい自然や建造物をスライドを通して目を楽しませてくれた。ロシア正教が生活に反映され、ユリウス暦を使うロシアのお正月は、クリスマスと時が一致し、ご馳走やプレゼントが賑やかだ。
(2)では日本人のボランティア活動や、外国人に対する友誼が感動させたそうだ。
彼には一人のチューターが常についている。習慣の違いとして、温泉がロシアにもあるが、木そうに入るのはごしごし洗うためでなくゆったりつかる日本人、レディーファーストでなくマンファーストの国、チップがいらない習慣などなど、またロシアでは招待されたら、5〜15分ぐらい遅れていく、プレゼントにはハンカチやナイフはタブー、食事は音を立てずに一品ずつ食べること、お茶はこぼれそうなくらい並々と豊かに注ぐことなどなど。ロシアには迷信が数多くあるのも特徴。でもExpo2005で象徴されているように、日本もロシアも自然と共存しているということは共通点です。
(3)では、今年はたまたま日本とロシアの国交が樹立された日ソ通商条約(1855)150周年の年に当たることから始まる。1956年の共同宣言で国交が回復したものの北方領土問題でつまずき、平和条約の締結まではこぎつけることができないままでいる。しかし、グローバルな観点から見ると、両国は共通点の多い見解を持っている。その上、経済面での協力や、文化面での交流を通して、政治面での屈折をカバーできるぐらいの明るい兆しが見える。
多くの参加者のうちから、質問として、料理のことや、チップのこと、日露戦争のことなどがありました。
|