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ドイツの教育制度
ドイツの将来を考え、制度上の問題を指摘
緑園国際交流 第76回 トークサロン

シュテファニーさん
 緑園都市コミュニティ協会(RCA)国際交流委員会が主催する第76回トークサロンが、4月26日(土)午後、緑園クラブハウスで開催された。今回のゲストスピーカーは、ドイツ連邦共和国デゥセルドルフ大学大学院生で、フェリス女学院大学に今年3月に交換留学生として来日、日本文学を勉学中のクラーセン・シュテファニーさん。村上春樹、金城一紀の作品を愛読しているそうだ。今日のテーマは、「ドイツの教育制度〜ドイツの将来を考える〜」。ドイツで2年間日本語を勉強したとのことだが、質疑では一部英語で応答していたが、パワーポイントを使った講演では、すべて日本語で通していた。
 
 ヨーロッパにおける位置づけ、16州の連邦、8千250万の人口、デゥセルドルフ大学の位置など、ドイツに関する一般的知識から始まり、教育制度の現状を詳しく説明。抱える問題を指摘していた。連邦州により教育政策だけでなく、義務教育期間や入学年齢が異なる。また、教科科目、休み時間、試験、学期など、その違いが大きい。初等教育(小学校)は4年で、その後中等教育では高等小学校、実科学校、ギムナジウム、総合学校と分かれる。初等教育修了時に進路を決めることになり、その時点での子どもの能力の見極めが重要。
トークサロン会場


 OECDで定期的に行われている国際的学習到達度調査で、2000年調査結果を見ると、ドイツは読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野とも参加国の平均を下回ったことを、日本のデータとの比較も交えながら説明していた。社会的格差による関連性が強く、移民、特にトルコからの移民による要因が大きい。それは子どもの能力によるものではなく、言語障害によるものだとしている。また、社会格差により進学する学校が異なり、データから経済的格差が読解力の差にはっきりと表れている。
 OECDからはドイツ教育面に対し、@学校制度が分割されている、A大学卒業者率がOECDの平均と比べ低い、B教育の機会不均等と社会的格差が教育のクオリティを決めている、C子どもの進路選別が早期すぎる、との指摘を受けており、改革の必要性をも説明していた。

 今回のトークサロンには、中国、インドネシアからの留学生も参加していたこともあり、それぞれの国の教育制度につきコメントしていた。
 
 日本でも、OECD学習到達度調査の結果、学力低下が明らかになり、ゆとり教育からの揺り戻しが行われている。この調査は、OECD参加国が共同して国際的に開発した15歳児を対象とする学習到達度問題調査。2000年に最初の本調査が行われ、以後3年ごとのサイクルで実施されている。
中国からの留学生
インドネシアからの留学生
「ドイツの教育制度」(http://steiner.blume4.net/)から