在宅避難を可能とする自宅の条件 
 
  何が何でも在宅避難をすれば良いというわけではありません。以下のような条件に当てはまることが前提となります。

・地震の揺れに強い建物。2000年6月以降の建設であれば構造的な被災リスクは低い。それ以前であれば、
 耐震診断や耐震補強を行う必要があります。

・土砂災害や豪雨災害に強い建物。崖の上下、海や川のそば、避難する道が1つしかない建物は、被災後、自宅
 の安全が確認できるまで避難所で生活する方が良い。
 
在宅避難への備え 1.『室内の安全を確保する』

・建物の耐震性と安全性を確認した後に、まずやるべきなのが家具の固定をはじめとする室内の安全性の確保
 です。

・家具類の固定は寝ている時に無防備となる寝室から行いましょう。

・冷蔵庫や器具類を固定し、在宅避難時に使えるキッチンに。ガスのカセットコンロは必需品。普段から調理
 に慣れておくと安心です。

・キッチンだけが火元ではありません(ガスコンロは地震時に自動で止まります)。カーテンなど布製品は
 防火品を使用する



在宅避難への備え 2.『トイレへの対策』


 空腹は多少我慢できても排泄は我慢できません。トイレに行けないからと水分を取らないようにすると、体
 調を崩して病気になるリスクが高まります。トイレ対策は重要です。

・「無水トイレ」の準備を。自分や家族は1日に何回ぐらい使用するか計算して備蓄しましょう。

・トイレットペーパーは深刻な供給不足になる恐れがあります。普段から1カ月分を余分に備蓄しておきま
 しょう。

・ウェットティッシュ、生理用品、赤ちゃん用のお尻拭きや紙オムツ(オムツ離れをした子どもにも有効)な
 ど衛生用品の備蓄も忘れずに


在宅避難への備え 3.『停電や断水に備える』

 地震や台風、豪雨、暴風などで電気、水道、ガスなどのライフラインが停まる可能性があります。一般的
 に、電気は1週間ほどで復旧すると言われていますが、今後起きる災害に当てはまるとは限りません。
   
・乾電池のストック、充電式の器具は常に充電する習慣を。

・火災の原因になる蝋燭(ろうそく)やオイルランプは灯りに使わないように しましょう。1人に1つ、LEDヘッドライトを用意しましょう。

・中長期の停電を想定し、コンパクトソーラー発電機やガソリンやカセット  ガスボンベで使用できる小型発電機を備えておくと安心。

・季節によっては冷暖房が使えず、暑さ・寒さ対策が必要に。熱中症を防  ぐための水分や、寒さをしのぐための毛布や使い捨てカイロの備蓄も忘 れずに。

・断水に備え、普段から水道水を汲み置きしておきましょう。地域の給水拠 点と自宅からの距離を把握しておくことも大切。

災害などで断水したときに、誰でも飲料水を得られる場所が「災害時給水所」です。水道局では、配水池、災害
 用地下給水タンク、緊急給水栓及び耐震給水栓を災害時給水所として整備しています。


在宅避難への備え 4.『食事は健康の源。“循環型備蓄”を習慣に』

 災害発生後に必要な食料や水分を買いに行っても、手に入らない、または不足する可能性が高いため、普段
 から備蓄しておくことが重要。1週間は何も配給されなくても自炊できるよう「循環型備蓄」を習慣にしておくこと
 をお勧めします。


・家族の人数分、栄養バランスを配慮した1週間分の備蓄リストを作成。日常的に使った分を買い足せば、無駄
 にならな い備蓄が可能になり鮮度も保てます。

・保存の効く加工食品やサプリメント、持出可能な非常食品をプラスするとさらに安心。

・電気、ガス、水道が止まっても、カセットコンロやポリ袋(パッククッキング)を活用すれば調理は可能。

・断水の場合は、食器が洗えないときのために、フライパンにアルミホイルを敷いて調理したり、食器に
 ラップをかけて使用したり、ウェットティッシュで拭いたりなどの工夫を

 上記資料は、東京大学教授、同大学院情報学環総合防災情報研究センター教授等兼務の目黒公郎氏の「在宅避難生活のススメ」を参考にしました。

 大規模災害から命を守るために、私たちに必要な心構えを目黒教授はこう語っています。

 「防災において最も重要なのは、災害イマジネーション(想像力)。地震や気象災害が起きたときに、自分
の住む地域の地域特性(自然環境と社会環境から構成)と発災条件(季節、曜日、天気、時刻など)を踏まえ
た上で、発災からの時間経過に伴って、自分の周りで何が起こるのか、を想像する力。災害イマジネーション
が必要な訳は、人間は自分が想像できないことに備えたり、対応したりすることが絶対にできないからだ。

 自分の能力を理解しない市民は、やれば簡単にできることもしないで被害を拡大する。大地震や水害が発生
してから「あの時、備えておけば良かった」と後悔しても遅い。防災を暮らしに取り入れ、普段から慣れておけば、
いざという時に自分や大切な家族の命を守る行動につながるのだ。