緑園国際交流 第134回トークサロンが6月23日(土)緑園クラブハウスで開かれた。スピーカーはアメリ
カ合衆国のサンディエゴ州立大学でマルチメディアアートと日本
語を専攻するアビー・カパティ―さん。現在横浜国立大学に交換
留学生として留学中。この8月には帰米するが、その前に緑園で出
身地サンディエゴの歴史、経済、ホームタウン、サンディエゴ州
立大学、横浜との姉妹都市提携、サンディエゴの美しい自然等に
ついて多くの写真を見せながら説明してくれた。
サンディエゴを語る前に、まずカリフォルニア州について、全米
で最も人口が多く3950万人ほど(東京の首都圏域の人口3800万と同程度とのこと)で、面積は米国全体の3
番目の広さを有する。州都はサクラメントでカリフォルニアは大衆文化、技術革新、政治において、その
動向が世界規模で影響を与えるところと考えられている。映画産業、ヒッピーの反体制文化、インターネ
ット、パソコンの発祥の地である。カリフォルニアの経済活動は多様だが、金融、行政、不動産サービス
、テクノロジー、高度専門職、科学技術産業関連で58%を占める。州経済のわずか1.5%ほどしか占めて
いない農業はそれでも全米1の生産
量を誇る。
サンディエゴは日本から直行便で11時間ほど。カリフォ
ルニアの南部でメキシコと国境をはさんで接して
いる。
サンディエゴ郡の中心地で地元の経済の中心であるだけで
なく、隣接するメキシコのティファナとの拡大都市圏での
中心地でもある。サンディエゴの経済を推進しているのは
軍事・防衛関連業務、観光、国際貿易、製造産業。
カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)と付属のメデ
ィカルセンターのおかげで地域はバイオテクノロジー研究
の中心地にもなっている。サンディエゴの不動産価格は高額で、全米の大都市圏のなかで住宅
取得が難しい地域の1つだ。
通年温暖な気候に恵まれ、水深の深い港、長い砂浜、長年米国海軍の本拠地があるところとして知られ
ているが、最近ヘルスケアとバイオテクノロジーの開発センターとしても浮上して来ている。
サンディエゴはカリフォルニアの発祥の地と言われ、歴史的にはアメリカ原住民のクメヤイ族の人々が
住んでいたところ。1542年にファン・ロドリゲス・カブリヨが初めて(現在の)サンディエゴ湾から上陸し
その土地をスペイン領と宣言した。1602年にセバスチャン・ビスカイノが旗艦サンディエゴで現在のミッ
ションベイからロマ岬辺を調査し、この土地を聖人サンディエゴ・デ・アルカラに因んで命名。
新しくスペインから独立したメキシコに一時組み入れられたが
、アメリカとメキシコの戦争後、1848年にアメリカに組み入れら
れ、属するカリフォルニアは1850年に州として認められた。
サンディエゴはメキシコと15マイル(24km)国境を接し、2つの
国境検問所があるが、サン・イシドロ地区にある検問所は世界で
最も忙しく混雑した国境越えとなっている。もうひとつはオテイメサ地区にある主として商業用の国境検
問でバハカリフォルニアとの間の商業流通量が大きくアメリカ-メキシコ間の陸上のトラック流通量とド
ル高規模で米国第3位。
アビーさんのホームタウンはもともとアメリカ原住民のク
メヤイインディアンが住んでいたところだったが、町の名
前は初期に土木技師、測量士、不動産開発に関わった実業
家として活躍したミルトン・サンティ―に由来する。
カリフォルニアには多くの有名大学がある。スタンフォ
ード(私立)、ユニバーシティーオブカリフォルニアのバー
クレー校、アーバイン校、ロサンゼルス校など。ユニバー
シティーオブカリフォルニア(州立)は系列校でUC教育システム(UC Education System)
を組織しており
、一方、アビーさんの通うサンディエゴ州立大学(SDSU)はCSU (California State University)という範
疇に入る。一般的にUCシステムの大学の方が大学院へ進学して研究に進ませる教育内容となっており、学
費がより高額。 CSUの大学では学費はUC系列校ほどではなく、学生をむしろ就職市場に向けて指導し、よ
り実践的な教育内容になっている。SDSUの入学率は34.2%ほど。学費は年額7500ドルほど。John F.
Kennedy大統領が1963年6月に卒業式でスピーチした歴史がある。
サンディエゴ州立大学のキャンパスの写真を多数紹介:近代的な校舎、学生組合の建物、トロリーの地
下駅、図書館、鯉と亀が飼われている池、卒業式やバスケットボールの試合が行われるビエハスアリーナ
、そして構内のエリアマップ(多数の駐車場スペースが注意を惹く、多くの学生が車で通学)。
アビーさんはトロリー(路面電車)で通っているが、とにかくスピードは遅いと言っていた。大学に間に合
うように朝は7時のトロリーに乗る。
サンディエゴは横浜の姉妹都市。両市にそれぞれ相手から送られた記念のモニュメントがあり、山下
公園には水の守護神の像。シェルターアイランドには友好の鐘が設置されている。アビーさんは横浜と
サンディエゴの共通点を思えば、姉妹都市になることは不思議ではなく、両市とも大好きとのことだ。
サンディエゴの魅力を紹介
ポテトチップロック:ポテトチップのように薄く空に突き出した岩の上で、みんな思い思いにサプライの写真を撮る。
バルボアパーク:美術館の宝庫—サンディエゴ美術館、自然史博物館、人類博物館、写真芸術博物館、航空科学博物館—そして動物園も。スペインの探検家バスコ・ヌニェス・バルボアに因む米国の史跡。
近くに日本庭園The Japanese Friendship Gardenもある。
ガスランプクォーター:ガス灯が美しく200以上のレストラン、バー、ナイトクラブ、ブティック、ギャラリー等で幅広い層の集客力がある。
シーポートビレッジ:ダウンタウンのサンディエゴ湾に隣接するショッピングとレストランの立ち並ぶウォーターフロントの街区。車を進入禁止にしてあり、4マイル(6㎞)ほどの曲がりくねった散歩道を散策できる。
海軍基地:サンディエゴは世界で最大の艦隊の母港で2008年には53隻の船、120以上の司令部、3万5千人以上の水兵、兵士、国防省の文官職員、契約職員が駐留していた。サンディエゴ郡の民間の仕事の約5%は海軍関係の仕事で、郡内の15000の企業は国防省との契約で仕事を得ている。基地は海軍施設、海兵隊基地、沿岸警備隊基地等がある。ダウンタウンのコロンビア地区ではサンディエゴの海洋博物館に所属する帆船スターオブインディア号を始めとする湾に停泊する船に乗船して見学でき、航空母艦のミッドウェイはそのまま博物館になっている。
サンディエゴにある数々のビーチ
サンセットクリフ:名前の通り、夕日が美しい。毎年ベーリング海からバハカリフォルニアに南下して来るクジラ(California Gray Whale)が見られる。
インぺリアルビーチ:メキシコのティファナに近く、カリフォルニア最南端のビーチ。夏には砂で様々な像を作るサンドキャッスルコンペティションが開かれる。300種類以上の野鳥の宝庫。人気の釣りスポットの桟橋から見えるコロナド島が美しく、サーフボード博物館も近い。
ミッションビーチ:海の眺めが素晴らしく、最も人が押し寄せるビーチの1つ。人気のベルモントパークやオーシャンフロントウォークからも数分と好立地。シャワー、トイレ、焚火用に掘られた穴等も提供されて、ライフガードもしっかり見守っている。
ラ・ホヤ:ツーリストも現地のローカルも惹きつけるファミリービーチ。海の底は砂地で外洋にも近くサーフィン、パドルボード、スキューバダイビングのレッスンにうってつけ。
オーシャンビーチ:ペットを連れて入れるビーチ。リーシュ無しでペットを走らせることのできるエリアもある。オーシャンビーチピアでは許可証なしで釣りが楽しめる。獲物の魚の一部は持ち帰ることもでき
るとのこと。
コロナドビーチ:アクセスの便利なコロナド島には4つビーチがあるが、フラットなので凧あげにも最適だ。ホテル・デル・コロナドは19世紀にさかのぼる由緒あるホテルで、王族やセレブがよく訪れる。
パシフィックビーチ:2マイル(3.2km)続く長いビーチ。スキューバダイビング用の装備レンタルショッ
プ、バー、レストランが多数ある人気のビーチ。90年前に作られた木製の桟橋クリスタルピアが水平線に向かって伸びている。
アビーさんはスピーチの最後にサンディエゴの沿岸と内陸でリタイアした人々が好んで住む人気のエリ
アを紹介してくれた。そんなところに住めるのは願ってもない幸せなことに違いない。
最後に参加者からアビーさんに日本語で多岐にわたる質問を開始。英語ではなく日本語で回答してもらうことに...
*大学の入学試験はあるのか
*なぜUC
Education Systemは他に比べて学費が高いのか
*卒業すると学生は域内で仕事をするか、それとも広く外へ就職先を求めるか
*トランプ大統領が主張するメキシコ国境の壁はできてきているのか、大学の学生はこの方針に賛成か
等
アビーさんは奮闘回答。最後に日本語習熟にさらなる努力をすることを約束。
アビーさんはこの8月に帰国の途に就くが、帰国前にご両親が日本に来られるとのこと。ご両親はフィリ
ピンから米国に移住。ご家族で少しでも日本の良いところを味わって頂きたい。(浅古記)
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