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第102回 緑園国際交流 トークサロン
外国における日本学
日本語能力の高さと勉学の厳しさ

 
 日本語学を専攻した理由は、日本が@工業国であるとともに経済的な魅力、A不思議な外国、B言語が好き、C日本の伝統的な文化、D日本のサブカルチュア(漫画だけでなく)などに魅力を感じていたと語るのは、ドイツのデゥセルドルフ大学からフェリス女学院大学大学院に交換留学生として来日中のヒラルスカ・カヤさん。

 カヤさんは、幼少期ポーランドで、その後はドイツに移住。現在は両国の国籍を持ち、ポーランド、ドイツ語はもちろん、英語、日本語に通じたマルチリンガル。緑園都市コミュニティ協会(RCA)国際交流委員会が6月22日(土)、主催した第102回トークサロンのスピーカーとして、テーマ「世界の中の日本学」を語った。カヤさんの日本語能力の高さと、そこへ至る勉学の厳しさを聞くと、自分の学生時代の不勉強を恥じるとともに、日本の若者も頑張ってほしいと感じた(自分も年取ったな〜)。
 
   


 冒頭、ドイツとポーランドについて歴史背景、他国から見ると特異に感じる名前ごとの祝日、ドイツの教育制度について紹介。ドイツについては割合理解している点が多いが、ポーランドについては歴史的に、近隣国との同盟、また国土分割、侵略された歴史など、またその間、国そのものがなくなっていた時期もあるなど、地図でその変遷を示しながら説明。参加者たちもヨーロッパ全体がそうであったこと、とともに特にポーランドにおける厳しい歴史に改めて感じ入っていた。
 
   


 本題の日本学については、カヤさん自身とその体験を通しての説明で、与えられる課題の多さ、広さを感じる。日本語学部入学に当っての課題、関門の厳しさ、入学後の課程の範囲の広さ、特に日本語に関する課題については、会話、文法、読解は当然だが、漢字圏でない国の学生にとっての困難さ、さらに古文も含まれる。日本史から社会・経済・政治といった幅広い課程に加え、試験、レポート、発表と、これでもかというほどの内容を熟すには、遊びやアルバイトをやっている時間がないと感じる。徒然草の読解では、最初は意味をくみ取ることに苦心したとのこと。ゼミは平安〜鎌倉時代の日本史、言語学では役割語、日本文化では京都めぐりを専攻。
 
   


 大学院への進学に当っては、さらに範囲の広がりと深さ、志望動機の記述では、具体的でなければならないこと、面接における追求の厳しさが語られた。語学では、ドイツ語、英語は当然、日本語は上級レベルが要求される。厳しい関門を通り抜け、現在、日本語口述試験、研究発表、論文提出、ゼミへの参加などの課程を過ごしている。卒業論文は、まだ仮題だが「漫画におけるフクシマ災厄」だとしていた。 

 参加者の高校生から、ドイツへの留学経験として、授業の中で自分の考えを発表する機会が多く、日本との教育の違いを感じている。でもそれは大変いい経験だった、と語った。