ブラジルの国旗
 緑園国際交流 トークサロン 第159回
ブラジルという国  
どんな国?、各地域の状況・特徴、国民性、
他民族の国の特徴など 幅広く勉強になりました。

 緑園都市コミュニティ協会(RCA)国際交流委員会主催の159回トークサロンが10月26日(土)緑園クラブハウスで開かれました。 今回のテーマは「ブラジルという国」。
 スピーカーは日系2世で H & A コンサルティング代表、ポルトガル語教師、歯科医師(ブラジル)など多くの肩書をお持ちの星 淳子さん。また、日本ブラジル中央協会の専務理事の窪田 敏朗氏にもおいでいただきました。
 
 

 
一般情報
面積  日本の23倍
人口  2.15億人
GDP  世界9位(2023年)
首都  ブラジリア
民族  添付画像を、どうぞ
言語  ポルトガル語
宗教 カトリック65%、プロテスタント22%
通貨  レアル(¥26.4/1リアル)
政体  連邦共和制(大統領制)
ブラジルの略史 

 星さんについては、世界で働く女性のポータルサイト「SEKAI WOMAN」に紹介記事があることを、当委員会仲間が教えてくれましたので、そちらも、ぜひご覧ください。

 今日の話の内容は左の次第で、2時間たっぷりと、詳細にわたって丁寧にお話いただきました。

 まず、参加者にブラジルに行ったことがある方は、いらっしゃいますか?との問いに、4人が手を挙げました。やはり、緑園には外国駐在、観光などで、世界各国に行った人が多い、と感じました。
 
 「ブラジルは、どんな国?」では、地球上の位置、日本との時差(12時間)、面積は日本の約23倍、世界で5番目。季節は日本とは真逆。
 人口は2億人強で世界で5番目。GDPは世界9番目の位置に。人口構成は日本は50歳代が最多だが、ブラジルは30歳代が最多で、実働人口は大きいが、日本と同じく少子化が進んであり、将来は日本化してく懸念がある、としていました。

 インターネット活用が進んでおり、SNS(Facebook、X、Instagram等)加入率は世界TOPで、1日利用時間は世界2位の9.5時間で、日本の2.5倍。
 大豆・コーヒー豆の輸出が世界1位、オレンジジュースは世界の80%を、サトウキビは25%を占めている。
 牛頭数は世界1、輸出では豚が世界4、鳥は3位。乳製品や蜂蜜も大きな量となっている。
 ブラジルの教育制度は、日本と似ているが、次の点が違います、と資料を画像見せてくれました。

 「ブラジルの不思議」
1.アマゾン川の水が混ざりにくい
 アマゾン川には、黒色の水を流すネグロ川と茶色い濁った水を流すソりモエス川(アマゾン川の上流部分)の2つの大きな支流があります。これらの川の水は長い間交わることなく並行して流れます。ネグロ川の水は酸性が強く、温度は低いです。これに対し、ソりモエス川は泥を多く含み温度も高いです。水の流れや成分の違いが、川の水が混ざり合わない理由です。

2.レンソイス・マラニエンシス国立公園
 レンソイス・マラニエンシスは白砂丘が広がる美しい景勝地です。ここは雨期になると水たまりができ、まるで湖のように広がります。水たまりには魚が住んでいることも。まるで砂漠の中に自然の池が出現するかのような減少で、乾季には、その水が蒸発し、白砂の丘が目立つようになります。

3.カシューナッツ
 ブラジルはカシューナッツの大産地として知られ、カシューナッツの樹は非常に大きくなることがあります。

4.ジャンブの果実
 ブラジルの一部の先住民は、ジャンブという植物の実を食べます。この果実には、舌を麻痺させる効果がある成分が含まれています。これを食べると、舌や口の中が痺れ、マヒする感覚を味わいます。


 「各地域の特性」
 ブラジルは国土が広く、地域により状況が異なるため、州別ではなくブロック別にその特徴を紹介してくれました。

 

 北部  
   
・国内面積No.1。生物多様性に富む。日本人が始めた
 黒胡椒の生産、川魚の漁業で生計。
・アセロラやアサイなどのアマゾンフルーツで有名。
・乳幼児死亡率高い。
マナウス市 アマゾナス州の州都、熱帯雨林に囲ま
 れ高温多湿。市内はヨーロッパ風のコロニアル調の建物。
・食文化はアマゾン川の魚(ピラクル、タンバキなど)、
 アマゾンフルーツ(アサイ、アセロラ、トゥクマ、ガラナ等)
熱帯雨林の危機。地球の酸素の20%供給。多様な動植物の生息地
・近年の森林火災頻発で生態系が侵されている。
・火災の現状と原因(自然発火、人為的発火、気候変動)、今後の対策など

 北東部  
 
・アフリカの文化・食文化
・ブラジル最初の首都サルバドール市1763年
・自然の美しさ、海が特に奇麗
レンソイス・マラニャンセス国立公園
・食材の多くは魚介類・ココナッツ・テング油
・国内貧困者の半分を占める。
・内陸は乾燥地帯が多い
・カポエイラ(ユネスコ無形文化遺産)
・サルバドール市(アフリカ奴隷の影響:食べ物、宗教も)

 中西部  ・アマゾンの次に面積大きい
首都ブラジリア 現代的、未来的デザインが特徴の都市計画。ユニーク都市としてユネスコ文化
 遺産登録
・食文化・文化の影響は先住民のインディオとポルトガル人
パンタナール(世界最大級の熱帯性湿地)
・ここで温泉ビデオを映す
 
 
 南東部  ・商業・金融・工業中心、人口の約42%を占める。サンパウロ州は国全体のGDPの1/3。
 リオデジャネイロ
は観光・海岸・音楽で有名
サンパウロ市:海・山に囲まれた自然の美しさ。人口約1200万人。文化の多様性、南米最大級の
 長距離バスターミナル。世界で2番目に大きいバス・ターミナル
・リオデジャネイロ市:最大級カーニバルパレード、第2の都市であったためポルトガル・アフリカ
 文化豊富。南米で初のオリンピック開催。サッカー、音楽、ダンスで有名
・ミナスジャネイロ市:豊富な鉄鉱石。ゴールドラッシュ時代に多くの街栄えた歴史ある街、
 食文化も豊富で地元の郷土料理有名
 
 
  南部  
  ・ドイツ、イタリアからの移住民が多い。建築・食文化・文化もヨーロッパ風
・農業や工業が参観。ワイン産地もある。
・面積は一番小さいが、GDPは国内で第2位
イグアスの滝
・気温が低く、雪が降る場所もある。






















「国民性「文化の違い」
 白人47.5%、黒人と白人の混血43.4%、黒人7.5%、アジア系1.1%、インディオ系0.4% と他民族国家。
 従って、共通する情報が少ない、バラバラの思想や文化的、常識が通じ合わない。
 近所あいさつの習慣がない、家族が一番、自分の身は自分で守る、物質主義、信用しにくい。シンプル、明確。

 一方、単一民族(日本も)は、共通する情報が多く、言われなくても通じ合い(仕草・間・視線・常識)、深い人間関係で結ばれている。常識が通じ合う。当たり前、以心伝心、言葉の曖昧性。
   
 近所あいさつ、町内会、団体行動(避難場所、訓練)

「食文化」
・シュラスコ、マテ茶、フェジョアダ、魚・魚介類の料理、干しタラ
・ブラジルの主食
・揚げ物大好き
 いろいろ、食べ物の写真を見せてくれました。

「言語」
 南米でブラジルだけがポルトガル語。1494年、スペインとポルトガルで締結された海外領土の分割協約トルデシリャス条約で決定された。西経46度以西をスペイン、東側をポルトガルの領有とすることに取り決められたもの。

「観光と施設」

 リオケンチ温泉地(Rio Quente)
 ブラジルのゴイアス州にある人気の温泉地。美しい自然に囲まれたリゾート地。リラクゼーション、健康促進に理想的な場所。温暖な温泉と豊かな自然が、特に観光客に癒しと楽しさを提供し、愛されています。
1.位置と特徴
   
   
 ゴイアス州(上) と リオケンチ(下)  
ゴイアス州の南部に位置し、州都ゴイアスから約170km、
 首都ブラジリアか300kmほどの距離にあります。
・リオケンチ温泉は地下から湧き出る温泉水を利用しており、温度は35~38℃と
 非常に快適。
 この温泉水は、ミネラル成分豊富で、リラ久ゼーション」や健康効果が期待さ
 れています。
多くのリゾート施設やホテルが立地しており、リラックスした時間を過ごすの
 に最適。
・リオケンチには温泉水を利用した様々な温泉プールがあり、子どもか大人まで
 楽しめる場所。
・リオケンチのホットスプリングスは、特にその温暖で清潔な水が特徴的。
・周辺には自然保護区や野生動物が豊富で、エコツーリズムの絶好。ハイキング
 や自然散策も人気のアクティビティ。

「ブラジルの問題点まとめ」:格差社会・経済・教育に関して
1.格差社会
 世界でも屈指の格差が大きい国の一つ。経済的・社会的・地域間の格差が深刻
 で、これらのことが人々の生活や機会に大きな影響を及ぼしています。
富の集中:少数の富裕層が国の大部分の富を支配しており、大多数の人々は
 貧困や中間層に留まっています。数百万人もの貧困層が存在し、特に都市部
 のスラム街や地方で、その状況が顕著です。
2.経済問題
 強大な資源を有し、多様な産業基盤を持ちながら、いくつかの問題に直面しています。
インフレと失業率:経済成長の波に乗り切れず、インフレ率の上昇、高い失業率が続いている。
 特に貧困層や若者の間では、就職機会が限られており、長期的な失業が深刻な問題
不安定な経済構造:経済のは一部の資源産業(鉄鉱石や石油など)に依存しており、これらの市場が不安定になる
 と、経済全体に影響を与えることになる。また政府の財政管理が不十分で、過度な国家債務や公共支出の問題を抱
 えている。
貧困層の拡大:経済成長が貧困層に十分な恩恵をもたらせていないため、貧困層割合が高く、所得格差拡大が続い
 ている。

3.教育問題:教育システムには質の高い教育へのアクセスが不足しているといった多くの課題を抱えています。
・教育の不平等:公立・私立間で教育の質に大きな格差があります。貧困層の多くは公立学校に通っており、教師の
 質や施 設の整備が不十分なことが多い。富裕層は私立学校で質の高い教育を受けることができる。
識字率:近年は改善がみられるものの、依然として低い識字率の人々は多く、特に、農村部や貧困層の子供たちは
 教育を 受けられないケースが多い。
高等教育のアクセス不足:大学進学率は低く、特に地方出身の学生や経済的困難な家庭の子供たちにとって、高等
 教育にアクセスすることは大きな壁。学費や受験難易度が高いことが、これを一層厳しくしています。

 
 日本ブラジル中央協会の専務理事の窪田 敏朗氏から、来年は日本・ブラジルの外交関係樹立130年にあたり、「日本ブラジル友好交流年」となることが紹介されました。