緑園国際交流 第135回 トークサロンが8月25日(土)緑園クラブハウスで開かれました。スピーカーはアゼルバイジャンの首都バク出身のアイダイエヴァ・ザリファさん。現在、横浜国立大学教育学研究科の研究生。この9月には同大学院の入試を受ける予定。昨年4月に来日し、今回で3度目の来日とのこと。
ザリファさんの日本語は、イントネーションが違和感なく感じられ、かつ滑らかに話す巧みさ。また、その内容も非常によく整理され、理路整然と話してくれました。
今日のテーマは「火の国 アゼルバイジャン」。プレゼの内容が幅広いので、その要点を下記します。
【歴史】
① 7世紀
この国はアルバニア国と呼ばれていた。もともとキリスト教のトルコ人。後にアゼルバイジャンと言われることに。
バルカン半島のアルバニアとは、全く関係ない。
② アラブの支配
アラブの支配となっても、イスラムへの改宗は強制ではなく、アゼリー人(アゼルバイジャン人)は税金を払い改宗しな かった。
③ 12世紀
蒙古の侵攻により、セルジュク朝(中央アジア起源のトルコ人イスラム政権)からトルコ人が移動してきた。
アゼルバイジャン人の源は、アルバニアのトルコ人(欧州系白人)とセルジュクのトルコ人(蒙古系)。
④ その後、1918年までロシア帝国の支配
⑤ 1918年アゼルバイジャン共和国に。しかし1年半の寿命。その後また、ロシアの支配に。
⑥ 1991年にアゼルバイジャン共和国。
グルジア(現ジョージア)、アルメニアも同時に独立。この3か国は南コーカサスの国。
【気候】
気候には恵まれている。北に大コーカサス山脈あり北からの寒さを、南に小コーカサス山脈あり南からの熱さを防ぐ。
カピス海からの風(ハズリ)が吹くので、空気の汚染がない。日本と同じ暑さでも湿気が少ない。
首都のバクとは、風の吹く街の意。
【南コーカサスの3か国】
〇アゼルバイジャン・・イスラム教
・ジョージアとは友好関係
・アルメニアとはナゴルノ・カラバフ紛争並びにナヒチェヴァン自治区(飛び地)の問題あり、
友好関係にない。
・ロシアに石油と天然ガスを供給
〇ジョージア・・・ジョージア正教
・ロシアと戦争、ロシア離れ、
〇アルメニア・・・カトリック
・ロシアに一番依存している、 ロシア/アルメニア大学、 ウランをロシアに供給
旧ソ連国へのロシアの影響は未だ大きい。ロシアは互いに仲を悪くさせる方針を取っている。ロシアは南コーカサスをアジアと欧州の扉と考えており、マルマラ海(トルコのアジア側と欧州側の間にある内海)までコントロールしたい考え。
【火の国】
アゼルバイジャンは石油と天然ガスに恵まれている。
①
アテシュ・ギャーフ(拝火教教会)(ゾロアスター教会) 12世紀
②
ヤナルダー(Yanar Dag)燃える山、首都バクから北へ7km。山の斜面から自然に湧き出す天然ガスが広い
範囲にわたって燃え続けている。インドの商人(隊商)がこれを見て神と崇める。
【ナヒチェヴァン】
現大統領(イルハム・アリエフ)の父親イダル・アリエフ出身の地。アルメニアと戦っているシンボルの地。ナヒチェヴァンとバクはライバル関係。首都バクは国際都市。柔軟性に富んでおり、エリートの人が集まる。
【バクの名所】
Flame Tower(2012完成)、旧市街、乙女の塔(街を乙女のまま守る。あるいは、王女が好きな人と結婚できず身投げしたとの説)、城壁
【国の問題】
・若者の国外への流出 アゼルバイジャン人は外国人に優し過ぎる。
・ワイロ
・ソ連の呪い アゼルバイジャンには金はあるが、それを力に転換出来ていない。バクはドバイになれていない
【言葉】
・アゼルバイジャン語: 文法的に見て順序は日本語と同じ
・複数語:ペルシャ語(詩での表現)、アラブ語(教育)、ロシア語(悪口)、トルコ語(体、例えば手足)を表すのに使用する。場面によって、アゼルバイジャン語の中に、ペルシャ語やアラブ語を取り入れる。Code switchと称している。
【アゼルバイジャン人の特徴】
・感情的
・怒りっぽい
・優しい
・直接的
・ロマンシック
エルサレムと同様、バクは三大宗教の聖地(イスラム教、キリスト教、ユダヤ教)
【ビデオ】
「火の国」(音楽とダンスを表示)とアゼルバイジャン全般(名所、自然、料理等)の2本のビデオを流してくれた。
【質疑応答】
(1) アゼルバイジャンとは“アゼーリ人の住んでいる所”の意味。
バイジャンはトルクメニスタンのタンと同じ意味
(2)
国旗 青はトルコ人、赤は独立に流した血、緑はイスラム教を示す。三日月と星の組み合わせは、
オスマン/イスラム系のシンボル。
(3)
現大統領は非常に頭の良い人物。国を良くしたい気持ちはあるが、手が届かない所がある。
(4)
トルコはジョージアの独立を支えている。トルコはNATOで軍人を多く派遣している国で、経済も
強い。従って、EUやロシアはトルコに遠慮がある。
一方、アゼルバイジャンはナゴルノ・カラバフ紛争を抱えており、フランスはアルメニアをサポート
しているのでトルコの支持も十分とはいかない。
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