緑園 国際交流 トークサロン No.157
多様性の国 アルゼンチン 
日本から一番遠い国、昨年は国交125周年、ユネスコの世界遺産12件日本移住者の祭りラプラタ盆踊りなど紹介
   
 緑園都市コミュニティ協会(RCA)国際交流委員会主催の第157回 トークサロンが4月27日(土)緑園クラブハウスで開かれました。今回のテーマは「多様性の国アルゼンチン」。
 スピーカーとして、アルゼンチン大使館の大使がお見えになる予定でしたが、ご用事もあり公使のペドロ・マロッタさん、書記官で日本語も流ちょうなマウリシオ・ムニョスさんと通訳を務めていただいた経済商務部の今村志津香さんにお出でいただきました。
 参加者はいつもより多く、部屋の左右の両側に補助イスを追加する状態でした。

 ユネスコの世界遺産に登録されているアルゼンチンの自然・文化遺産の数は12件、無形文化遺産の数は3件。魅力に満ちたこれら遺産の紹介冊子が参加者に提供されました。
 

 まず、公使から、アルゼンチンに行った方はいますかとの質問で3人が手を挙げていた。またアルゼンチンについて知っていることはとの質問では、タンゴ、母を訪ねて3千里の話などが出された。この話はイタリアに住む少年マルコが遠く離れたアルゼンチンに行った母を、様々な困難を乗越えながら、母の居場所を探し、感動的再開を果たす話。公使の曾祖父はイタリアからアルゼンチンに来たとの話。これら話題で盛り上がっていました。

 書記官からは、アルゼンチン紹介画像を示しながら、流ちょうな日本語で同国の基礎情報を説明。日本とは地球上真逆の位置にあり、空路で30時間も掛かる、と公使の補足も。南北に長く広がった国土は日本の約7.5倍、人口は4,600万人と日本の約40%弱。首都はブエノスアイレス。同国南端とそれに続く島々が南極に連なっており、その一部地域は同国研究基地ともなっている。

 ヨーロッパから、特にイタリア、スペインからの移民が多く、文化的には西欧に近い。公用語はスペイン語。宗教はキリスト(カソリック)教、イスラム教、ユダヤ教が。スポーツではサッカー、ラグビー、ポロ、テニス、フィールドホッケーなど英国のスポーツが盛ん。戦前に沖縄、鹿児島からの移住があり、沖縄のコミュニテーもある。最近ではロシアからの移住が増加傾向で、昨年の居住ビザ取得のロシア人は4000人ほど。
   

 文化の面では各地での代表的祭りとして、
①パチャママの日(北西部では母なる大地の神・パチャママへの信仰で作物を奉納し、豊穣を祈るお祭)
②ウマウアカ渓谷(当渓谷は不思議な色の地層がむき出しになっていることから、太陽の角度に応じ虹色に輝き、虹の谷との呼ばれるている)は過去1万年にわたって行き交う交易路で、スペイン風のカーニバルと先住民の文化が融合し生まれ、毎年ユニークなカーニバルが開催される。
③ブエノスアイレスの南にあるラプラタで日本の移住者が始めた祭りラブラタ盆踊りは、今や1万5千人以上の人が集まり大規模な盆踊りとなっている、
など紹介された。

 南米で古来から飲み継がれて来た「マテ茶」は、現在でも一般にお茶やコーヒーと同様に趣向品として、また重要な栄養取得源となっている。マテの葉や茎を乾燥させた茶葉に、水または湯を注ぎ、成分を浸出した飲み物。ビタミンやミネラルの含有量が高く、「飲むサラダ」とも言われているそうだ。茶器に茶葉を入れ、それに80℃程度の湯を注ぎ、底に先端に茶漉の付いたストローを差し込み、抽出液を飲む。そのまま飲むのが伝統的だが、最近は砂糖を入れ甘みを加える人も、書記官のムニョスさんそのようだ。
   
   マテ茶

 一組の茶器を使い複数人がマテ茶を回し飲みする習慣があるそうで、満足するまで何杯も回し続けるそうだ。しかし茶器を返す時にGracias(ありがとう)と言うと、「もう満足しました」として次から自分には茶は回ってこないことになる、と言っていた。

 質疑に入り、参加者の中から活発に質問があり、公使・書記官から回答をいただいた。
・日本では牛肉は口蹄疫の関係で輸入禁止となったことがあるが?
 コロラド川以南の寒い地方のものであればOKとなっています。実際に輸入されています。
・もう40年前のことになるが、マルビナス(フォークランド)紛争後、領有権については?
 政治的背景もあり解決は容易でないが、少なくとも国民は自国領土と認識しています。
・日本と交流は?
 日本との関係は長い歴史を持っており、昨年125周年を迎え、日本でも様々な文化交流を行いました。
 長い年月を通し政治、経済、文化など多岐にわたる分野で深まっています。自動車産業の進出もあります。
 約6万5000人の日系人が暮らしています。
・治安は?
 中南米諸国の中で治安は良いとされていますが、首都を中心に注意が必要です。
・経済的課題は?
 高いインフレなど多くの課題に直面していますが、混乱を避け、改善策を講じています。